「ペルソナ5 ザ・ファントムX」とは。
ペルソナ5ザ・ファントムX(P5X)は2025年6月26日にリリースされたタイトル。
プラットフォームはAndroid、iPhone、Steam(PC)
運営元はパーフェクトワールド社、日本版の運営はセガ。
開発元もパーフェクトワールド社ですが、厳密には子会社のBlack Wings Game Studioが担当しています。
原作元であるアトラスは監修・協力となっているようです。
今回のレビューは3か月ほど継続してログインし、コツコツ遊んでみて感じた感想となります。
シナリオは一応2章までクリアしている状態です。
もう、このレベルの作品でも可処分時間の取り合いに負ける時代。
結論から書くと「良い作品だと思ったけど、僕個人の可処分時間を割くほどの意義や価値を感じなかった」という感じでした。
ただまあ、こんなこと書いといて言うのもなんですけど…
もう、これほどクオリティの高い作品に触れた時でさえ、そんな残酷で贅沢な結論が脳裏にチラついてしまうような時代が来てしまったのかと思うと、本当に恐ろしい話です。
それだけ、何処の開発会社さんも生き残りをかけ、死力を尽くして最高の作品作りにに臨んでいる、ということなんだと思いますので、それ自体は尊いことだとは思うのですけどね。
ペルソナ5らしさは十分に表現できていると感じた。
3Dモデルの造形の精度は若干本家に劣るかな、と言う印象をうけたものの、全体的な再現度は非常に高いと感じます。
東京の町並みなども本家と遜色ない形で奇麗にまとまっており、原作プレイ済みの僕も原作を懐かしみながら街中を歩きまわれました。
世界観や時間軸を共有しているため、原作に登場していたNPCもしっかり登場しますし、原作の主要キャラもストーリーにそこそこ絡んできます。
全体的に、ペルソナ5のパラレルワールド的外伝という位置づけとして楽しむことは十分可能なクオリティだと感じました。
ストーリーが若干粗削りな印象を受けた。
特定人物の大きく歪んだ欲望が、現実世界の生きる人々の心に悪影響を及ぼしていく、という世界観です。
原作では「財界の大物や、元オリンピック選手など、社会的地位を利用してやりたい放題しまくっている厄介者の悪意(欲望)を成敗して改心させていく」という感じでしたが、今作は「何らかの理由で大きく膨れ上がった個人の悪意(欲望)が、周囲の人々の精神へマイナスの方向に干渉していくのを解消するために、その原因となっている人物の悪意を成敗して改心させる」というようなお話になっていました。
プレイヤーは現実に悪影響を及ぼしている原因となった人物を成敗し、改心させることで人知れず世直しをしていく流れの繰り返しなのは大体同じですが、異常現象が現実世界に悪影響を及ぼす範囲がやや大きくなっているのかな、という感じです。
個人的な感想としては、これはこれで面白いなとは思いつつも、原作に比べるとテーマ選びや話の作りこみがちょっと安っぽいというか、粗削りかなという印象を受けました。
1章、2章ともに序盤の話だから、ということもあったのかもしれませんが、原作に比べると敵役の肩書きややってる悪事の質が小悪党過ぎる気がする感じ。
もっともっとプレイヤーが胸糞悪くなるようなどす黒い悪事を繰り返し続けるような、同情の余地が1ミリもないくらいのクソ野郎であってほしかったかもしれません。
その胸糞悪さが良い感じに暖まってきた頃合いで、プレイヤーからド派手に成敗される、という痛快な構図がもう少し強めに欲しかった。
カタルシスを感じるには、敵のやってることが小物っぽくて弱火過ぎるな、と思ってしまいました。
どうやら3章以降は原作でもシナリオライターを担当されていた新田祐介さんが、シナリオプランナー兼開発ディレクターとして途中参加してからの開発分となっているらしく、もしかすると大幅にテコ入れがされてクオリティアップされているかもしれません。
なので、このストーリーに関する感想はあくまで2章までを遊んでみてのものなので、3章以降まで読み進めたら、見え方や感じ方が変わってくる可能性は大きいと思います。
期日が無いのでコミュの見逃しがないのは嬉しい。
原作は「育成やコミュニティ強化などの準備期間は何月何日まで」「何月何日までにボスを倒す」のような、ある程度の期日が設けられていて、期日までに解決できないとゲームオーバーやバッドエンドを迎える、みたいな流れでした。
P5Xでは、所謂ソシャゲであるということもあってか、時間経過の概念はあるものの、特定のイベントが発生しない限りはストーリーの時間軸が動かず、期日による進行は実質存在しない、という感じになっています。
原作では、コミュニティイベントなどを期日が間に合わなくていくつか取りこぼしたまま後戻りができなくなった、なんてこともしょっちゅうでした。
そうなると2週目・3週目に持ち越したり、別途セーブデータを分けてコミュニティイベントをを視聴するためだけが目的でゲームをプレイをしないといけなくなるなどしていたのですが、期日が撤廃されているおかげで、スタミナや1日当たりの回数制限が続く限りという限界は存在するものの、好きなだけ育成や装備集めをして準備したり、コミュイベントも進め放題なのは割とありがたいな、と感じていました。
半面でスタミナや回数制限に縛られるストレスに苛まれる。
期日に振り回されない解放感を得られた半面で、スタミナや一日の回数制限にゲームプレイを阻まれるという、「ソシャゲあるある」なストレスがP5Xには存在しています。
必須となる育成素材の大半はそのコンテンツで集めるのですが、スタミナや1日の参加上限を使い切ってしまうと、素材を入手するためのコンテンツへ入場できません。
そのせいでなかなか素材が集まらないので、強敵にぶつかって編成や育成による強化が必要になった時、その日のうちに再戦の準備を完結できないことが多々発生するのです。
ソシャゲの大半はコツコツ盆栽をめでるようにキャラクターを育てていくものではあるのですが、ストーリーの続きが非常に気になる状態で何日も生殺しにされるのは、毎度ながら相当つらい。
加えて、原作にはこのようなスタミナ等の仕様はなく、育成に制限が科されていないわけなので、余計にスタミナや回数制限の仕様がストレスとして顕在化しちゃってる感じです。
原作の味を知っている状態で、自分のペースで自由にストーリーやバトルを推進できないって状況が、余計にこの作品を見る目のハードルをあげちゃいますよねえ。
あと、限界突破やレベル上限解放などの仕組みも、原作には無い足止め工作なので、僕は割とストレスに感じました。
「ペルソナシリーズ」ではなく「ただの新作ソシャゲ」だったら「そういうもんだよな」で甘んじて受け入れていたかもしれませんけど、一応ペルソナだからなぁ、これ。
プレイ体験はできる限りペルソナであってほしいわけですよ。
とはいえ、ソシャゲとしてもやる事が重くてめんどくさい部類な気もした。
前述した「ソシャゲだったらそういうもんだよな」という部分もちょっと重たいかな、と感じました。
ソシャゲにはいわゆる「毎日やるべきこと」というのが存在するのがお約束なのですが、これは「回数制限や時間制限などに縛られているせいで、毎日コツコツやらざるを得ないコンテンツ」のことを指します。
ちなみに「たくさんソシャゲを遊んどいて何いまさら矛盾したこと言ってんだ?」と思われるかもしれませんが、僕はこれがめちゃくちゃ苦手です。
ほとんどの場合が「アクティブユーザーを維持するためだけの、運営側の小癪な時間稼ぎ」に付き合わされているだけかなって言う気持ちになるからです。
これが露骨なゲームは、どんだけシナリオが面白くても、どんだけバトルやアクション、ギミック部分が秀逸でも、僕は徐々にプレイに対するモチベーションが落ちていきます。
ソシャゲだろうとコンソールだろうと、インゲーム部分の体験を向上させる目的を持つをアウトゲーム部分が、インゲームの体験を阻害してくる作り、というのは個人的にどうもしっくりこないんですよね。
P5Xはこのデイリーコンテンツ部分が非常に重たいのも、僕の継続するやる気を削いだ原因になっていて、他のめんどくさい部類に属するタイトルと比較しても、輪をかけて時間がかかってめんどくさい気がしました。
スタミナを消費するだけなら一瞬で終わりますが、コミュ育成や素材集め、コミュ力強化など、ペルソナ5だったら無制限に可処分時間の許す限り、進めたいだけ一気に畳みかけてしまえる部分が、回数制限や時間制限で縛られていて、毎日少しづつしか進められない…というストレスは原作を体験しているからこそ、結構デカいなと感じましたね。
ペルソナシリーズが好きな人になら、普通におススメできます。
前述したとおり、ペルソナ5のパラレルワールド的外伝としてはよくできていると思います。
ペルソナ5が好きだった人、ペルソナ3以降のシリーズ展開が好きな人には是非おススメしたい。
逆に「ペルソナ5の続編的作品」「ペルソナシリーズ」というブランド部分を取っ払って考えた場合は他のソシャゲとそれほど中身に差がない上、むしろ日課やコンテンツ消化が冗長であり、遊ぶのに体力が必要な、かなりめんどくさい部類に入ると思うので、そういう意味では全然オススメできないタイトルになっちゃうかもな、と感じます。
このシリーズが好きか?世界観やビジュアルに愛着が持てるか?
それ次第で、このタイトルの見方は大分変ってくると思われます。
僕はここで船を降りますが、ペルソナ5のパラレルワールド的続編として遊ぶ分には申し分ないタイトルである、とは感じましたし、丁寧に作られた良い作品であるとは思います。
個人的にめんどくさいと感じた要素として取り上げたデイリーコンテンツ部分に関しても、P5Xだけに注力して遊ぶ分には大して気にならないとは思います。
ペルソナシリーズが好きな方、ペルソナ5が好きな方は、一度遊んでみてはいかがでしょうか。
以上、感想のコーナーでした。